サキアの休日…7  無敵なボディーガード

 ボクの名前は、勝利。

勝利と書いて、カツトシと読む。

無敵な女、サキアさんの下で働いている。

彼女はみんなに、おそれられている存在だけれど…

ボクは知っている。

彼女のハートは、ガラスのように繊細で、日向の毛布のように、

温かで、優しい…ということを。

 だから彼女が、厳しい態度を取ったとしても…

実は人一倍、熱い女である…と知っているから、幾ら無理難題を

押し付けられたとしても、それくらいのことでは、へこたれたりは

しないのだ。

もしかして彼女が…ボクのことを、特別な存在だと、意識している

としたら…ボクはいつでも、その期待にこたえる、と心で決めている。

「一緒に、休みを取りなさい」

 と言ったのは…きっと、一緒にどこかで、バカンスを…と考えていたのか?

もしかして、断ったのはいけなかったのか?

自分としたことが…やらかした?

そう思ったのだけれど…

「いや、まだチャンスはあるはずだ」

 めげない男…

 それが、ボクなのだ。


 ここに来たのは、まだ若造の頃…

とはいっても、彼女からしたら、今の自分も、若造なのだろうが。

(一体、彼女の年齢は、幾つなんだ?)

いつも、彼女がすわっている、受付の机の周りを見るけれど…

免許証もなければ、身分証明書もない。

パスポートもなければ、健康保険書もない。

彼女は一体いつ、休んでいるのだろう?

家に帰っているのか?

いつ寝ているのか?

まさか…寝ていないのか?

「うーん、謎だ」

 ミスターは、思わずつぶやく。

そうして、ミスターは妙案を思い付いた。

(彼女が常宿にしている、あのホテルのオーナーならば、知っているのでは?)

「それならば」

ミスターは、思いつく。

「この休日の間に、調べればいいんだ」

彼女の行きつけの店。

彼女の友人…

(そもそもいるのか?)

あとは…

「よし、決めた!」

ミスターは、よし!とこぶしを握り締めると、顏を上げた。

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