第428話 あれは、何だ?

「なに、なに?何だよぉ~」

 ジュンペイがブスッとして、裕太の方を向く。

こんな大変な時に、一体なんだよ?

ジュンペイはあからさまに、イヤな顔をした。

だが、裕太は一向に、おかまいなしだ。

『あれ、あれだよ』

ジュンペイにささやく。

 ガイコツは、ショーンたちに気を取られているのか、裕太たちの

様子までは、気が回らない様子だ。


(イケルかなぁ?)

(イケルんじゃない?)

裕太はそーっと、腕を伸ばすと、鳥かごの中に手を突っ込む。

「おい、危ないだろ?何をやっているんだよ」

コイツ、どういう状況か、わかっているのか?

ジュンペイは思いっ切り、顏をしかめる。

ショーンはショーンで、フェニックスとドクロのことで、

手一杯なのか…

まったくこちらの様子を、見る余裕もなさそうだ。


 裕太はこそっと、ジュンペイに近付くと、

『あれだよ』と耳打ちをする。

『なに?』

『だから、あれ!』

 こそこそと二人で、鳥かごの裏側に回る。

敷き藁のようなものが敷いてあるのが、目に入る。

『カゴの鳥って…こういうことなのかなぁ~』

感心したように、ジュンペイが言う。

『バカだなぁ~そんなことを、言っている場合か?』

思いきり裕太は、顏をしかめた。

 ようやくジュンペイも、裕太が言っているのが何なのか、

気になってきたようだ。

さらには、大人に隠れて、探している…ということ自体も、

楽しんでいるようだ。

『ほら、あそこ!』

 フェニックスが、ショーンに助けこされて、動いたとたん、

足元にキラリと光るものが、目に入った。

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