第3話   魔女か?口裂け女か?謎の女、現る!

 なに?

 魔法使い?

 それとも、口裂け女か?

思ったよりも、毒々しい赤い唇に…

まさか自分たちが、食べられてしまうのか、と裕太は思わずキュッと

身を縮めた。


「なぁに?

 せっかく助けてあげたのに…

 まるで化け物を見るような顔をして!」

気を悪くしたように、彼女はフンッとソッポを向く。 

「あっ、オバサン、ごめんなさい…ボク…」

あわてて裕太が謝ると、その女はキッと彼をにらみつける。

「オバサンじゃない!」

ピシャリと言い返した。

裕太はビクッと首を縮めると、

「オバサンじゃなくて、お姉さん!

 お母さんに、ちゃんと教わらなかったの?」

その女性の剣幕に、呆気にとられ、裕太はポカンとする。

その人は、裕太の様子に気が付くと

「子供相手に、大人気なかったか…」

帽子を脱ぐと、黒々とした豊かな髪を、さらりと撫でつける。

 帽子の下の顏は、驚くほどに白い。

(仮面?厚化粧?)

この見も知らぬ女性に、目を吸い寄せられた。

(歳は幾つなんだろう?)

若いのだか、歳なのか、全く見当もつかない。

(母さんよりも、年上?)

まさか…オバサン、歳幾つ?などと聞いたら…

おそらく烈火のごとく、怒られることだろう。

困ったように、その女性を見ていると、その人ははぁ~と

ため息をつき、

「あなたねぇ、そんな目で、人を見ないでよ。失礼でしょ?」

やはり言われてしまった。

だけども、じぃっと裕太を見下ろすと

「私はサキア。

 あなた、行き倒れになっていたのよ」

やや早口で、裕太に言う。

サキア?

どこの人だ?

もしかして、キラキラネーム?

それとも…まさか、外国人?

 驚く裕太を見ると…彼女はフフッと笑い、

「まぁ、いいわ。

 あなた、幾つ?

 お母さんは?」

今度は、裕太が聞かれる番だ。

すっかり頭がはっきりしてきたところで、これは夢ではない、と

ようやく気が付いた。

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