第375話 ファルコンの本気

 ものすごいスピードで、ファルコンはトオの外壁を上って行く。

裕太の前につかまっているジュンペイも、髪がツンツンに逆立って

いて、それがマンガのキャラクターに似ていて、思わず笑いそうに

なってしまう。

「違うよぉ~

 落っこちないように、つかまっているだけだよぉ」

照れ隠しに、そう言うと、さり気なく、裕太に手を貸す。


 ファルコンは、何も言わない。

元々竜なのだから、しゃべるワケがないのだが…

人間の言葉は、キチンと理解しているようだ。

さらに裕太には、ファルコンが笑っているように感じる。

なんでだろう?

不思議だなぁ~

やっぱりファルコンって、ボクたちの話していることも、わかって

いるんだ。

 

 ショーンの姿が、ドンドン遠ざかって行く。

(ボクたちも、早く行かなくちゃ)

裕太は急に、置いてきぼりになりそうな気がして、キュッと

ファルコンのウロコにつかまる。

 ブワッと風に逆らうようにして、ファルコンはさらに加速していく。

「うまくいくのかなぁ?」

うかがうようにして、裕太が聞く。

「さぁ、それはどうかなぁ」

あまり興味がなさそうに、ジュンペイは生返事を返した。

 まるで巨大な要塞を、よじ登っているようだ。

一体、どこまで続いているのだろう?

裕太はファルコンの背に、身体をグッと押し付けた。

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