第118話 どっちつかずの2人…

「おっ、マリさん!ご苦労様です」

 村長であるアキラさんが、マリさんに近付くと、すぃっと手を

差し出す。

「私は、何もしてませんよ!

 ミナトたちが、頑張ってくれたおかげです」

ニコニコしながら、ミナトを見つめる。


(この人…偉い人なんだ)

 本能的に、裕太は悟る。

目の前の男性は…地下の住人が色白なのに対して、思いの外

色黒で、やはりガッシリとした肩をしている。

パッと目が合うと、思わず裕太はじぃっと見返してしまう。

するとミナトがあわてて、

「この子たちを、あの方の所へ、連れて行きたいのですが…」

やや緊張気味の面持ちで、そう言った。

「この子たちを?」

アキラさんは、やや驚いた顔になる。

キュッと表情をこわばらせると、しばらく裕太とジュンペイの

顔を見比べる。

「あの方は…今、ご多忙なのだ。

 お手をわずらわせるわけには、いかない」


 どうも2人の会話を聞くかぎり…どうやらさらに、偉い人の所へ

連れて行こうとしているようだ。

(一体、どうなるんだ?)

落ち着きなく、裕太はジュンペイに視線を向ける。

(もしも断られたら、ボクたち、どうなるんだ?)

急に不安になってきた。

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