第387話 まるで魔法のように…

(まるで魔法のようだ…)

 感心しながらも、裕太はショーンの後について行く。

一歩踏み出したとたん、薄暗い闇のような世界が、目の前に広がって

いた。

(えっ、ここであってるの?)

思わず裕太が、後ろを振り返る。

すると、先ほど開いた穴が、みるみるふさがっていく。

(えっ、うそ!まさか、閉じ込められた?)

あわてて、さっきの場所に戻り、壁に手を触れる。

しかし…先ほどのガラスが溶けたような、グニャリとした感触は

もうすでになく…

それどころか、カチカチに固い、石の壁が続いている。

(なんだぁ?どういうこと?)

裕太は戸惑うけれど、ショーンはまるで、それが当然という顔をして、

「どうした?早く行こう」

まったく平然とした態度で、裕太をうながす。

「でも…あのぉ~入り口が…」

ショーンに訴える。

「なんだ、そのこと?」

だがショーンは、ちっとも驚く様子がない。

それどころか、裕太の目を見ると 

「ここはね、そういう仕掛けが、あちこちにあるんだ。

 いちいち驚いていたら、身がもたないよ」

 さぁ、いいから早く!

裕太の背中に手を触れる。


 なんだ。

 当たり前のことなんだ。

いちいち動揺していた自分が、何だか恥ずかしくなってくる。

「ここからは、油断は禁物だ。

 敵はどこから襲ってくるのか、わからないからな!」

ショーンがそう言った刹那、ヒュン!と何かが飛んできた。

 


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