第339話 憧れの家

「行ってみたいか?」

 いきなりショーンの声がする。

裕太は首をひねり、ショーンを振り返ると

「行きたいなら、行ってもいいぞ」

待ってる、とショーンはにぃっと笑った。

「ホント?」

「あぁ」

裕太がチラリと、ジュンペイの方を見る。

「やったぁ~」

ジュンペイは嬉しそうに、歓声を上げる。

「でも…すぐに戻って来いよ!

 ここで、待っているからな」

 ショーンが今立っているのは、床屋さんにある、あのぐるぐる回る

サインポールのような、キャンディーの塀の所だ。

「うん、わかった!」

はしゃぐようにそう言うと…2人は仲良く、お菓子の家に近付いて行く。


 塀の側には、可愛らしい金平糖の花が咲いている。

玄関へのアプローチは、白い石のストーンチョコ。

ドアは、ミルクチョコレート。

壁は、ウエハース。

屋根は…チョコレート?

「ね、アリが来たら、一発だね!」

裕太がはしゃぐように言うと、

「アリは、こんな高い所までは、上がって来ないだろ?」

ジュンペイは平然と、そう言い返した。

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