第340話 その中には…

「カギ…持っているよな?」

 いきなりジュンペイが、聞いて来る。

「うん」

裕太はポンポンと、自分のポケットを叩く。

ジュンペイが、うながすように裕太を見ると…

裕太は反射的に、その鍵を鍵穴に押し当てる。

軽く押し当てるだけでも…その手ごたえを感じた。

カチリ…

小気味のいい音がして、

「開いた!」

オモチャのようなドアノブが、クルリと回転する。

ためらうことなく、ジュンペイがスルリと中に身体をすべり込ませると、

「うわぁ~」

間もなくして、ジュンペイのはしゃぐ声が聞こえた。

「ユウタぁ~すごいぞぉ!

 早くこっちに来て、見てみろよぉ~!」

 ドアのすき間から、歓声を上げて、走り回るジュンペイの姿が、

チラリと見える。

(おい…)

ちょっと、またなのか、と思うけれども、ショーンは黙ってうなづく。

(まぁ、いいかぁ~)

ショーンのお言葉に甘えて、裕太自身も好奇心が押さえきれず、中に

入って行った。

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