第310話 お次はネズミ?
轟音をたてるカッターから、どうにか遠ざかると
「さぁ、こっちへ」
ジャックが慣れた調子で、スルスルと土管から管を伝って、
下に飛び移る。
その後をジュンペイ、裕太の順番で続いて行く。
「ここは、どこ?」
ようやく明るい場所に出てくると、裕太はキョロキョロとする。
何かの柱の陰のようだ。
トン…と裕太が足を踏み入れようとすると、
「待って」
グィッとジャックが、裕太の腕を引く。
「確かこの辺りには、ネズミ捕りが仕掛けてあるはずだ」
「えっ?」
ネズミ捕りって?
足元を見る。
「あの、ゴキブリホイホイみたいなもの?」
前にお店で見たことがある。
ダンボールのような厚紙に、ネバネバな粘着シートが置いてある
ヤツだ。
「なんだよ、それ!」
ケラケラとジャックが笑う。
「そうじゃなくて…バネが仕掛けてあるヤツだよ!」
虫かごみたいなのに、板の上にチーズが仕込んであって、入ったら
バタンとしまるヤツ!
そう言うと、おもむろにジャックは、何か足元の物をどこかに
放り投げる。
近くに落ちていた、コルクのようなものだ。
思ったよりも遠くに、ポーンと飛ぶと、放物線を描いて下に
落ちて行く。
すると…バチンとすさまじい音がした。
「トラばさみ?」
「はっ?なんだよ、それ」
ジュンペイの反応に、裕太はケラケラと笑う。
「よく見るんだ。
挟まれたら、出られないぞ。
これが、けっこう、痛いんだ」
どのくらいの大きさかは、わからないけれど…
さすがのジュンペイも、スッとジャックの後ろに下がった。
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