第94話 新たなる冒険の予感…
あらためて、ショーンの金色の瞳や、白い翼を、裕太は
しげしげと見つめる。
この人は…人間。
それとも…?
「えっ、どうして?
もうちょっと、一緒にいようよ」
ジュンペイがねだるように言う。
「いや、それはちょっと…」
なぜだろう?
何だか落ち着きなく、ソワソワしている。
もしかして…ショーンとこの地下の人たちの間で、何か
あるのか?
「え~っ?」
ジュンペイが不満そうな顔をするけれど、申し訳なさそうに、
ショーンは切実な目で、裕太に助けを求める。
「わかった、いいよ。
無理強いは、よくないもんね」
つられるようにして、裕太がうなづく。
「えっ」
「あっ、ありがとう」
ショーンがホッとするのを、ジュンペイが不満そうに、
「ちぇ~っ!」とこぼす。
「すまない」
あらためて、ショーンはジュンペイに頭を下げる。
「ほら…ボクは、地下の人たちが、ちょっと苦手なんだ」
落着きなく、目をキョロキョロさせるので、
裕太は気の毒になってきた。
「しょうがないなぁ」
ジュンペイも、わざと大きな声を出すと、
「じゃあ、ショーンを呼びたい時…
どうしたらいいの?」
せっかく、最強の仲間が出来た、というのに…
ブスッとしながら聞いた。
「あっ、それなら大丈夫!」
そう言うと
「ほら、さっき犬笛を渡しただろ?」
堂々とした顔で、ジュンペイを見る。
「犬笛?」
なんのこと?
キョトンとした顔で、裕太はジュンペイを見る。
「へっ?」
なんだよ、それ…
身に覚えのない、という顔をしたので、
「ちょっと、待ってくれよぉ。
もう、忘れたのか?」
頭をポリポリとかきながら、ショーンはじれったそうに、
「ほら、あれだよ!
笛だよ、笛!
レアメタルで作った…小さな笛だよ」
「あっ!」
ようやくジュンペイは、ごまかし笑いを浮かべると、
へへへと言いながら、無造作にポケットに手を突っ込んだ。
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