第204話 竜の背に乗って…

 バサッと大きく翼を揺らすと、激しく風が巻き起こる。

そうすると…どこかから、新鮮な空気が流れ込んでくる

ようで、裕太は思わず深呼吸をした。

「早く!」

ジュンペイにうながされ

「ここに」

なぜか、彼の定位置を示される。

「さ、行こう!

 お宝目指して、ゴーゴゴー!」

勢いよく声を上げると、ジュンペイは自分の腕を高く

突き上げる。

「ちゃんとつかまらないと、危ないよ!」

思わず裕太が声をかけた。

「そんなの、わかってるよ!」

再びペタリと前傾姿勢になると、竜の背中に身体を押し付ける。

裕太も、ジュンペイの真似をすると…

それを見計らったように、フワリと身体が浮き上がる。


 まっすぐに上に向かって進んで行くと、ジュンペイは

嬉しそうに

「早い、早い!」

ひゃあひゃあと、はしゃいだ声を上げる。

エレベーターよりも、エスカレーターよりも、断然こっちの方が

早いな!

ひゃあ~

裕太は振り落とされないように、キュッと両手に力を込めた。

 なんだかいいな!

 このまま、乗っていたいな!

風を感じながら、ぐんぐん目の前に流れる眺めを、楽しんでいる。

「すごーい、ジェットコースターみたい!」

ジュンペイにつられて、裕太も笑顔になる。


「ほら、見えてきたぞ!」

どのくらい上がったのだろう?

大きなツルの先には…硬い岩盤に守られるようにして、大きな城が

姿を現した。

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