第203話 人間の言葉を理解する竜

 ファルコンはもちろん、何も言わないけれど…

(本当に行くのか?)と聞くような顔で、裕太たちを見る。


「よろしく!」

 ポン!とジュンペイが、ファルコンの尾の辺りを叩くと、

バシンとはねのけ、ファルコンはジュンペイを無視するように

した。

(本当に、いいのか?)

裕太の顔を見る。


 なぜだろう?

 しゃべってもいないのに、言っていることがわかる…

それを不思議に思う。

(ファルコンってやっぱり、言葉がわかるんだ…)

しかも言葉に合わせて、微妙に表情も変化する。

それに裕太は、気が付いた。

『当たり前だろ?』

なぜか耳の奥に、不思議な声が響いて来る。

「えっ」

裕太は思わず、ファルコンを見る。

するとファルコンは、まるでウィンクをするように…

軽くまばたきをした。


「さぁ、早く行こうよ!」

 ジュンペイはすっかり…心は巨人の家に飛んでいる。

早く、早くと裕太をせかすので、

「ごめんね」

裕太はそう言うと、ファルコンの鼻づらの辺りを、

そぅーっとなでた。

『いいんだ』

またも耳元で、声が響く。

(すごいな!やっぱりわかるんだ!)

そう思って、ショーンを振り返ると、黙ってにぃっと笑う。

「さ、早く、ファルコンに乗って!」

そう言うと、再び純白の翼を大きく広げた。

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