第202話 上か、下か、それが問題だ!

「あっ!」 

 思いついたように、ジュンペイが叫ぶ。

「もしかして…お宝?」

 素っ頓狂な声なので、裕太は慌てる。

 巨人がいたら、どうする?

この場に及んでも、まだ、そんなことを言うのか?

裕太は完全に呆れている。

「そうか…でも、下に行くか、それとも上に行くかだなぁ」

ショーンは冷静に、考え込んでいる。

するとジュンペイが、パチンと指を鳴らす。

「上!

 絶対に、上だよ!」

なぜか強い口調で言い張る。

「下だったら、また上がるのが大変だ!

 上なら、降りるだけだろう?」

どうだ、とジュンペイがそっくり返るように言う。

だがショーンは「うーん」と考え込むと、

「それもありかなぁ」とうなづく。

「そうだろ?」

何だか、威張ったようにジュンペイが言うと、

「えっ」

裕太は言葉を失った。

「わかった、じゃあファルコンの背に乗れ!」

ショーンがピイっと指笛を吹くと、

スルスルスル…

上の方から、長い尾を揺らして、ファルコンが近付いて来た。

「悪いが、2人を乗せてくれないか?

 あの黒い建物まで」

そうささやくと、ファルコンは目を光らせて、裕太たちを

じぃっと見つめた。



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