第201話 まさか、あれは?

「そんなことより」

 ショーンはジュンペイを振り向くと

「おまえは、大丈夫なのか?」

心配そうに聞く。

「ボクは、大丈夫!」

ガッツポーズを作って答える。

「ボクね、すもぐりの名人だから!」

「なんだよ、それ」

「関係あるのか?」

得意気に言うジュンペイに、その理屈はどうよ?と思う

けれど…

ようは海の子だから、肺が強いんだ…

と、裕太はそう解釈した。

「もぐりのコツはね、とにかく肺に一杯息を吸い込んで、

長く息を止めることなんだ」

当たり前だろ、と思うけれど、実際にするには、案外難しそうだ。

「はぁ~と胸がペッタンコになるまで、しっかり吐き出すと、

 すぅっと肺の奥まで、息を吸い込む。

 そうしたら…けっこうギリギリまで、ガマンが出来るよ」

すぐさまジュンペイは、はぁ~と息を吐き出し、すぅ~っと

鼻で息を吸い込む真似をした。


「なんだよ、それ!」

 思わず大きな声を上げると…ワハハと咳き込みながらも笑う。

「おい、裕太!

 やっぱ、顔色が悪いぞ」

その間…肩で息をしていた裕太に気付いたのか…

ようやくジュンペイが、心配そうにのぞき込む。

ショーンもつられて、体をかがめる。

「本当だな!

 これは、イカン!」

そう言うと、

「どこか、休ませるところは、ないかなぁ」

キョロキョロと見回す。


 ここは豆の木の途中だ。

見下ろすと、豆粒のように、入り口が見える。

大きな葉と、下の方に蜘蛛の巣が張られている。

「バウンドして、あそこに下りるか?」

「蜘蛛に食べられちゃう!」

「じゃあ、あそこはどうだ?」

ぐぃっと上の方を指差す。

「あそこ?」

 あそこって、どこだ?

ジュンペイの指し示す指先をたどると…

少し上の方に、大きな建物が見えていた。

「あれは?」

 それは…先ほどから裕太も、気になっていた。

石造りの頑丈そうな建物だ。

しかも、かなり大きい。

ここから見ても、大きいのだから、おそらくは近くに

行ったら、相当な大きさのはずだ。

「もしかして…巨人の家?」

ポソッと裕太が言った。


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