第102話 地下の町の秘密…

「オバサンって…ここに1人で暮らしているの?」

 まったく遠慮することなく、いきなりジュンペイが

口をはさむ。

(あっ、コイツ…また、余計なことを!)

そう思うけれども、裕太も気にはなっていた。

 するとマリさんは、「そうねぇ」と言うと、

「ここはね、私の生まれ故郷なのよ」と言う。

「ここが?」

驚いた顔で、家の中を見回す。

この地下に住んでいた、というのか?

裕太は意外に思う。

すると、サキアも大きくうなづいて、

「もともと私たちは…このトオが今の形態になる前から、

 ここに住んでいたのよ」

静かな声で、打ち明けた。


 先住民…ということ?

裕太とジュンペイは、ポカンとする。

「そうよ、もちろん地下ではなくて、トオの中というか…

 今のような形になる前の話だけどね。

 あそこにいたのよ」と言う。

「えっ、どういうこと?」

トオに住んでいたの?

化け物と一緒に?

ますます訳が分からなくて、裕太とジュンペイは顔を見合わせた。

 どう考えても…よくわからない。

まるでキツネにつままれたような顔をする、2人を見て

「そうかぁ~わかんないよね」

マリさんが、ニッコリと微笑んだ。

「あそこはもともと…竜神の住む場所だったのよ」

「竜神?」

何だか、とんでもない方向に、行っているなぁ~

(でも、どこかで、聞いたような話だなぁ)

ふと裕太はそう思った。

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