第138話 そこは竜の通り道?

 そうしてキヨラさんが、ゾロゾロと引き連れて、歩き始める。

今度はどこに、と思うけれども、逆に次に何が出るのか、と

ワクワクする。

さらにミナトも、裕太たちの後ろを黙って続く。

さすがに、裕太たちよりも慣れてはいるようだ。

ライトを後ろから、照らし出すようにして歩く。

裕太が、ジュンペイの方を見ると…

思いの外楽しそうな顔をして、ヒョイヒョイと跳ねるようにして

歩いている。

 不安じゃあないのだろうか?

 どうして、平気なんだ?

そう裕太は思うけれど、スタスタと飛び跳ねて進むジュンペイに、

とにかく遅れないようにと、裕太はせっせと早歩きで追いかけた。


「ここよ!」

 キヨラさんの声がして、彼女の持つライトが、こちらを向いている。

そこは先ほどのトンネルのような所とは違い、井戸のような四角い穴に、

屋根が取り付けられている場所だ。

《なんだよぉ~ただの井戸じゃないかぁ》

ジュンペイが、裕太に小声でささやくと、

「しぃっ!」

裕太はあわてて、ジュンペイを突っつく。

何しろキヨラさんの耳は、とてもよく聞こえるのだ。

むしろ声に出さなくても、自分たちの考えはすべて読まれてしまう

ようだけど…

(あんまりゾッとしないなぁ~)

そう思っていると、

「怖がらなくても、いいわよ」

早速キヨラさんの声が聞こえる。

「ここは、竜の通り道と言われる所なの」

こちらを向き直り、井戸を眺めている。

「へぇ~」

どこが変わっているのだろう?

のぞき込もうと、身を乗り出すジュンペイに、

「やめなさい!」

すかさず鋭い声がかかる。

「そんな風にしたら…飲み込まれてしまうわよ!」

今までにないくらい、真剣なまなざしで、裕太たちを見た。

「え~、そうなの?」

なんだよぉ、つまんないなぁ~

ジュンペイは不満そうに、ブスッと頬を膨らませた。

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