第395話 あれは、なんだ?
自分たちは、すべてのエリアを、この目で見たわけではない。
けれども、国籍不明、おとぎの国?
いや、タイムスリップ?
それとも、映画のセットか?
このトオは見る限り、まったく統一感のない建物だ。
(それとも、山か?)
これを作った人の意図が、まったくわからないのだけれど。
ただわかっているのは、サキアさんではないらしいということ。
裕太には、まったくうかがい知ることが出来ないのだ。
一方、ファルコンはといえば、まったく二人の会話には参加せず…
目の前の彫像のすき間を、すり抜けて行く。
(何か、あるのかなぁ?)
いかにも、何かありそうな、思わせぶりな場所を、通っていく。
ふいに、見覚えのある像に、裕太は気が付いた。
初め見た時には、何か異様な雰囲気のある像だなぁと、引き付けられる
ようにして、見ていた。
「あっ、あれは!」
遠目から見ていても、一目でその迫力に圧倒される。
「何だよ」
ジュンペイが、けげんそうな声を出す。
「あれだよ、あの赤いの!」
裕太は声を張り上げる。
「赤いの?」
どれが、と言いかけて、ジュンペイがまっすぐに、裕太の視線を追うと、
裕太の言いたいことが、すぐにわかった。
確かに、どこかで見たことのある像が、立っている。
「似ているね」
「違うよ、あれは…本物だ!」
そう言い切るけれども。
何でだろう?
一瞬裕太は、目を疑う。
まさか、自分たちは元の世界に戻って来たのだろうか?
ボンヤリとそう思った。
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