第396話 謎の銅像

「えっ?なんで、あの赤い像がここに?」

 さすがのジュンペイも、これには驚いたようだ。

他の像ももちろんリアルで、今にも動き出しそうではあるけれど。

あの赤い目の像だけは…そのどれとも違った。

他の物とは、明らかに、異質の雰囲気をまとっていて、

そこに近寄りがたいような、独特のオーラをかもし出していた。


「えっ?あれって、まさか…ボクたちの後をついて来たの?」

 そんなバカな!

裕太は、素っ頓狂な声を上げる。

「何を言っているんだよ、バカだなぁ」

ハハハハハハ…!

大きな声で、笑い飛ばすけれど、なぜかジュンペイの目が、

泳いでいる。

(やっぱり、ジュンペイも、気になるんだ)

自分の目の錯覚か、と裕太は思っていたけれど、どうもそうでは

なさそうだ。

裕太は安心したように、ストンとその場にしゃがみ込む。

「おい、どうしたんだ?

 まさか、腰を抜かしたのか?」

相変わらずの口の悪さで、ジュンペイは笑いを含んだ目で、裕太を見る。

「違うよ!そんなこと…あるわけがないだろ?」

ムキになって、裕太はすぐに

「平気だよ」と立ち上がってみせた。

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