第91話 あなたを探して…
「えっ、もしかして…知り合い?」
ミアはマリさんとサキアを見比べる。
「ええ、そうよ!
この人は…私の育ての親のような人よ!」
いつもは冷静沈着なこの人が…
珍しく感情をあらわにして、頬を赤らめている。
「えっ、サキアさんって、マリさんの子供なの?」
突然ジュンペイが、素っ頓狂な声を上げる。
「違うよぉ~そうじゃないって、言ってるだろ?」
早速裕太が、ジュンペイの腕を引っ張った。
「大人の会話に、口を挟まないの」
「あら!いいのよ」
マリさんが、ニコニコしながら、2人を見下ろす。
「私ね、ずーっとあなたを探していたのよ」
そうつぶやくと、
「元気で、ホントによかった…」
サキアはマリさんを、潤む目で見つめると、ぎゅぅっと
その手を握り締めた。
「あなたらしき人を、見かけた…という噂を聞くと、
暇を見つけては、見回りをしたりしていたの。
でもまさか、こんな所で会うとはねぇ」
感慨深そうに、マリさんを見つめた。
いつの間にか、2人の周りを、仲間たちが囲んでいる。
黙って見守る彼らを振り返ると
「私はね、サキアさんのお母さんと知り合いだったのよ。
もちろん、彼女の世話も、したことがあるのよ」
とても愛おしいそうな目で、サキアを見つめる。
子供たちは、いまいちわからないらしく、キョトンとしている。
サキアはクスリと笑うと
「母が父と、地下の活動をしていて…ドクターに殺されたのよ」
そうショッキングなことを言う。
「その時に、マリさんが引き取ってくれて…大きくなるまで
育ててくれたの」
貧しかったあの頃…
それでも、何とか学校は行かせてもらったけれども。
「でも、いつまでも甘えるわけには、いかないじゃない。
18の時に家を出て…
このトオに来たんだわ」
しみじみとした顔で、サキアは言う。
「サキアさんも…ここに?」
ミアは意外そうな顔をして、サキアを見上げた。
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