第90話 探し物はなんですか?
「まさか?」
「そんな!」
ミナトとミアは、顔を見合せ…
壁についた、まがまがしいシミを見つめる。
「この壁は?」
2人はドンドンと、その壁をたたく。
「どうしたの?」
2人の様子に気付いて、マリさんが近寄ってくる。
「いや…ドクターが!」
ミアがその血痕を指差すと、じぃっとマリさんがそれを
見つめる。
そうしてふっと視線を戻すと
「大丈夫よ」と言う。
「大丈夫って?ドクターは?」
どういうこと?
ミナトとミアが奇妙に思っていると…
マリさんは顔をしかめて、
「たぶん、あの人は…」と言ったっきり、黙り込んで
しまった。
「どうしたの?」
壁の前に立つ、3人に気が付くと、サキアが近付いて来た。
「あの…」
ミアが指差すと
「あぁ…」
その指先を見つめ、何事か悟ったように、
「大丈夫よ」
やはりマリさんと、同じことを言う。
「たぶん、あの人のことだから…」
考え込みながらそう言うと、何気なくふっと顔を上げた。
その瞬間、マリさんと目が合う。
「えっ」
一瞬、2人の間で、時が止まった。
言葉を失い、確かめ合うように、視線が絡み合う。
マリさんもサキアに視線が止まったまま、明らかに
顔色が変わった。
「えっ…マリさん?」
「サキア?」
顔をこわばらせ、立ちすくむと、
「やっと…会えた」
「生きていたのね」
互いに見つめ合い、駆け寄った。
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