第179話 不思議な石

「そうね、この石の持つ意味を知らない人には…ただの石ころかもね!」

 豚に真珠かも…と言うと、サキアさんは口をにぃっと横に引いて、

裕太とジュンペイを見る。

「誰がブタだって?」

ピクンとすぐに、ジュンペイが反応して、これは聞き捨てならないなぁ~

と、足をダンと踏み鳴らす。

「あら!ただの例えよ、例え!」

サキアさんがそう言うと、フンとソッポを向き、

「道しるべの石って…どういう意味があるか、わかる?」

今度は裕太に向かって聞く。

「さぁ?

 道しるべだから、案内板みたいなの?」

だけども案内の印にしては、ずいぶん小さいなぁ~と思う。


 するとサキアさんが

「貸して!」と手を差し出すので、裕太はチラッとジュンペイを見る。

ジュンペイは、すでに興味を失ったようで、また回りをチョロチョロ

し始めていた。

黙って、裕太は石を手渡すと…ポワンと暖色の光りを放っている。

それを彼女は、両手で包み込むように持つと、はぁ~と息を吹きかけた。

「抜け道を」

かすかな声で、石に向かってささやく。

するとその問いに応答するように、柔らかな白い光が

まるで「わかった」と返事をしているように、わずかにオレンジに変わると…

ポワンとその手から、浮かびあがった。


「えっ」

「何したの、今。

 スイッチでも、あるの?」

裕太とジュンペイはポカンとした顔になった。



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