第178話 それは魔法の石?

 ただこれだけ、サキアさんが食いついてくる、ということは…

よほど珍しい石なのだろう。

「これ、何の石?」

つられてジュンペイも、ひょいっとつま先立ちで、のぞき込む。

裕太たちのいた、先ほどまで裕太たちのいた洞窟を見つめ、

「うーん、この辺りの山の岩を削った石…とでもいうのかしら

 ねぇ」

考え考え言う。

「じゃあ…削れば、いいんじゃないの?」

なぁんだ!簡単じゃん、とジュンペイが言うと、サキアさんは

「そんな簡単なことじゃないのよ」

頭を振る。

「その中に、この石がある確率は、ほんの数%。

 あっても、これだけ立派なものは、中々手に入らないのよ」

じぃっと目を落とす。


 そんなすごいものが、なんでここに?

 みんなが欲しがるのでは、ないのか?

裕太はそう思うけれど…

この石を採石するには、それなりの体力と忍耐力が、必要なのよ」

それに、取れる場所も限られている…とサキアさんが言う。

「だからね、ゴールドラッシュのように、人が殺到することは、

 まずないわね。

 険しい場所だし、正確な場所も、知られてはいない。

 それだけ、難しいのよ」

そう言うと…

「これは、見事なものだわ」

ため息をついた。

 もしかして…高値で売れるのか?

一瞬、裕太は思ったけれど、あえて口にはしない。

(ジュンペイがどう反応するのか、怖いのだ)


「へぇ~じゃあ、これって、お守りなの?」

どうやって、使えばいいのか、今ひとつピンとはこない。

フフ…

なぜかサキアさんが、意味あり気に笑った。

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