第177話 それは道しるべ

「開けてみせて」

 サキアさんに言われるまでもなく、裕太は自分のリュックを

大きく開くと、中をのぞき込む。

確かに石のようなものが、その中には入っていた。


「なんだ、これ…」

 思わず絶句し、サキアさんを見上げる。

するとひょいっと手を伸ばして、その石を拾い上げると

「あなた、これ…いいものをもらったわね!」

思わず興奮気味に、そう言った。

(なんだ、それ?)

サキアさんが、目の色を変える意味がわからない。

(これ、そんなにすごいものなの?)

ついつられて、サキアさんの手のひらに乗っている、その

輝く石を見つめる。

 大きさは、こぶし大くらいだ。

どこから光が出ているのか…

ポワンと全体が、ほのかに発光しているように見える。

「これはね…道しるべの石よ」

噂には聞いていたけど、見るのは初めてだわ…

と、サキアさんは先ほどから、しげしげと見ている。

「ホントにこれ…どこで見つけたの?」

またも聞いて来る。

「知らないよ!

 たぶん何かの拍子で、まぎれ込んだんじゃあないの?」


裕太には、そうとしか言えなかった。

何がそんなに、サキアさんのことを惹きつけるのか…

裕太にはさっぱり、その価値が見いだせなかった。

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