第176話 これは、なに?

 そんなバカなぁ~

ウソだろ、と思いながらも、裕太がリュックを見ると…

確かにポワンと生地越しに、ほのかな光りが浮かびあがっている。

「なんだろう?」

おかしいなぁ~

そっと、その部分に手を触れる。

(熱くない…)

懐中電灯が、光っているのではなさそうだ。

だが、点滅しているわけではないので、どうやらホタルでもない。

「ほら、中を見てみろよ!」

ジュンペイにうながされ、仕方なくリュックの蓋をあけると…

何かがフワッと浮かびあがってきた。

「なんだ、これ!光ってる!」

思わずジュンペイが、興奮状態で、裕太のリュックに手をかけよう

とする。

「おまえ…何を入れているんだ?」

「えっ?知らないよぉ」

裕太には、まったく心当たりがない。

 どういうことだ?

 誰のしわざなんだ?

裕太は頭をひねる。


「あら、あなた、これ…」

サキアさんも、ジュンペイの肩越しにのぞき込む。

「どこで、手に入れたの?」

一瞬彼女の目が、キラリと光った。

「どこでって言われても…」

裕太は戸惑う。

「ボクも、知らないんですよ~

 大体このリュックだって、さっき見つかったばかりだし…」


 そうだ。

確かにあの洞窟で、いきなり現れたのだ。

まるで、イリュージョンみたいに、何もないところに、

突然現れたので、誰が置いたのかさえ、わからなかったのだ。

(案外、ショーンだったりして…)

確か彼が見つけた、と言っていた。

そう考えたけれども、あえて彼には、問いつめたりはしなかった。

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