サキアの休日…10 カツトシ編

「それじゃあ…かなり古くからのお知り合いなんですね?」

 だが彼も、このまま指をくわえている訳にはいかない。

グッと顔を近づけると、オーナーはふいに真顔になる。

「あなた…何のために、お知りになりたいのですか?」

スッと冷たい目付きになる。

「えっ」

まさか…自分が、疑われているのか?

さすがにミスターは、それはまずい、と考える。

「それは…やっぱりボクも、一応、サキアさんの秘書のような

 ことをしているから、彼女のことを、もっと詳しく知って

 おいた方がいい、と思って…」

かなり苦しい言い訳をする。


 信じてくれるだろうか?

だが、何とかわかって欲しい…

期待するように、チラリとオーナーを見る。

「そうですか。

 ずいぶん…勉強熱心なのですね」

オーナーは澄ました顔でそう言う。

 それは、どういう意味なのか?

 いい意味なのか?

 それとも?

「あのぉ~ちなみに、いつも何時ぐらいに、帰って来るのか…

 ご存知ですか?」

ついでに聞いてみる。

 すると、オーナーの眉が、ピクリと動く。

(あっ、マズイ!

 やっぱり、余計なことを聞いてしまったか?)

ミスターはあわてて、言い訳を考えていると、

「そうですねぇ。

 私もずっと、ここに詰めているわけではないので、お答え

 しかねます」

ピシャリと言い返した。

(これは、ゲームオーバーということだろうか?)

後は、自分で調べろ…ということだろうな、と彼は当たりをつけた。

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