サキアの休日…9

「で、どういったご用件で?」

 あまりに、前のめりでオーナーが聞くので、ミスターは恐縮

してしまう。

なぜならば、今日は…プライベートで来たのだ。

サキアの仕事の関係ではなく…

彼女自身のことを、リサーチしに来たのだから、どう切り出そうか、

と迷っている。

黙ったままの彼を見て、

「それとも何か…不都合なことでも?」

まさか…何か、こちらの手違いがあったとか?

オーナーが勝手に勘ぐっているのに気付いて、ボディーガードは

思いきって

「あの」と声を出した。


 顔色をうかがい、おそるおそる切り出そうとすると…

ますますオーナーは、眉をしかめ、

「はい?」

さらに、身を乗り出してくる。

「あのぉ~」

「はい」

「この…ホテルを利用するようになって、どのくらいになりますか?」

「はっ?」

一体、何が聞きたいのだ?

オーナーは、彼が何を言わんとしているのか、はかりかねている。

ミスターも、自分でも何を言い出すんだ、と焦っている。

(あぁ~自分!

 何を口走っているんだ?

 もっと、まともな聞き方が、あるだろうに!)

間抜けな自分に、心底ヘキエキとするけれど…

オーナーは「はぁ」と返事に困っているようで、

そんなことを聞いて、どうするんだ?とキョトンとした顔をする。

「まぁ、そうですねぇ~

 私がここで働き始めた頃には、すでに…」

そう言いながらも、オーナー自身も、よく把握していないことに

あらためて気づく。

「何しろ、トオの責任者になる頃には、すでにご利用いただいて

 いましたから…」

次第に、ミスターのことを、怪しみ始める。

警戒する目付きに変わった。

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