サキアの休日…11

(ま、そうだよなぁ)

 ボディーガードも、これ以上聞き出すのは、得策ではないと

悟る。

かえって怪しまれたら、マズイ気がする…

「秘書の方が、ご存知ないのならば、私どもにわかるはずが

 ございません」

四角四面な返答をすると、

オーナーはもうこれでいいかという顔をする。

 いつの間にかドアが開いて、オーナーの秘書が、黙ってミスター

の方を向いていた。


「珍しいわね!

 あなたの方から来るなんて!」

無邪気に、マリさんが声をかけると、サキアはまだ、不満そうな

顏をする。

「ねぇ、本当に…

 他には、誰も来ないの?」

ミナトの方を向く。

「さぁ?」

 外国人のように、ミナトが肩をすくめると、

「何よ、それ」

サキアはすっかり、気を悪くした。

「まぁまぁ、二人とも!

 そんなことで、もめないでよ」


 マリさんは相変わらず、マイペースだ。

「ほらほら!仲良くしなさいよぉ~」

まるで子供をなだめるように、若い二人の間に立つ。

「あっ、そういえば…キヨラさんが、後で来て、と言っていたわねぇ」

ふいに思い出したように、マリさんが言う。

「えっ、キヨラが?」

「キヨラさんが?」

サキアとミナトは、同時に声を上げる。

ふふふ…

マリさんは、そんな二人を見て笑う。

「イヤだぁ~

 ホント、あなたたち…

 昔から、変わっていないのねぇ」

からかうように、サキアを見る。

「何よ、それ」

「そんなこと、ないです」

だがマリさんは、ニヤニヤしたまま、ポンポンとミナトの肩と、

サキアの肩を交互に叩く。

「そんなこと、ないです」

サキアはふいに、目をそらした。


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