第23話 小遣いかせぎは大変だ!
「オセンにキャラメル~
あんぱんはいかがですかぁ?」
いきなりトオの入り口の前の路上で、ジュンペイは声を
張り上げる。
ジロジロと通りすがりの人が、こちらを見ている。
が、そんなことを気にするジュンペイではない。
「ちょっとぉ~何をやってるの?」
裕太は顔を赤くして、ジュンペイの袖を引っ張る。
「ん?見ればわかるだろ?資金かせぎだ」
まったく平然とした顔で、言い返す。
(こういうのって、許可がいるんじゃないの?)
実のところ、さっきは思ったような武器が手に入らず、
すごすごと引き下がってきたのだ。
裕太はそれで、とうにあきらめたというのに、どうやらジュンペイの
方は、そうではないらしい。
そこでジュンペイは考えたのだ。
(そうか、お金が足りないのなら、稼げばいいんじゃないか?)
何と言うグッドアイディア!
ボクって、天才?
ジュンペイはまたも、こりもせずに、声を張り上げる。
「おっ」
早速1人の男が、立ち止まった。
「物売りかぁ~感心、感心!
ボク…お母さんは?」
その男は、何か探しているのか、落ち着きなく、目をキョロキョロと
させている。
まるで…何かに追われているのか、怯えているように見える。
「母さん?いません」
シレッとした顔をして、ジュンペイが言うと、テキメン効き目が
あったようで…
「そうか、お母さんは病気か何かで、ここにはいないんだな?
だから、クスリを買うお金を稼ぐために、こうして働いているんだな?」
どうも…いい人のようだ。
しめしめ、とういう顔をするジュンペイを見て
どこが?と、裕太は思わず、突っ込みたくなる。
「ふーん、そうかぁ」
どうやら同情したようで、じぃっとジュンペイを見下ろす。
ジュンペイは、あえて否定も肯定もせずに、挑戦的な目で、その男を
見返している。
「まぁ、いいか…あんぱんをくれ」
一瞬からまった視線から、男はついとそらすと、気を取り直したように言う。
「あんぱん?ありません」
けんもほろろに、ジュンペイが言う。
「ない?」
なんだ、それは…
男は呆れた顔をする。
「なら、キャラメル!」
気を取り直して、男が言う。
「それもありません」
にべもなく、ジュンペイが答える。
「はぁっ?」
取り付く島もないとは、このことか…
男は呆れた顔をした。
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