第238話 まるで、サル? 

 ジュンペイはためらうことなく、グイグイとロープを

上って行く。

その後ろ姿を見守って、裕太も覚悟を決める。

(要は…上り棒を上がる感じで、上がればいいんだな)

高いと思っちゃ、ダメだ…

そう裕太は、自分に言い聞かせる。

(こんなことなら、マーサに連れて来てもらったら、

 楽だったのにぃ)

すいすいとロープを上るジュンペイの姿を、あらためて

すごいな、と感心している。

(やっぱりアイツ、サルだなぁ)

何の躊躇をする様子も見られない。

怖くないのか?

そのままの勢いで、スルスル~と、踊り場まで到達すると、

「おーい、裕太ぁ~

 おまえも、上って来いよぉ」

ジュンペイの声が響いてきた。

「うん、わかってる」

覚悟を決めて、裕太もロープに飛び付く。

 

 皮膚に、ロープが食い込む感覚がする。

(それにしてもジュンペイ…よく上れたなぁ)

得意気に見下ろすジュンペイを、裕太は見上げる。

 今はとにかく、このことに集中しよう。

考えるのは、その後だ。

「なんだぁ~、おまえ、上れるじゃないかぁ」

ヘラヘラとジュンペイが、笑って見下ろした。


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