第370話 どこへ行くの?
「えっ、どうしたの?」
銀色の鎖を握り締めたまま、ショーンはこちらを向く。
何かあるのか、という目付きで、こちらをうかがっている。
「ショーン、どこへ行くの?」
裕太はようやく、言葉を絞りだす。
するとショーンはヘラッと笑い、
「大丈夫だ、心配はいらない」
急にハッキリとした口調で、裕太に向かって言う。
「ちょっと、この子を…送り届けるだけだ」
チラリと白い犬になった、シェーラの方を向く。
この子?
シェーラさんを?
今は銀色の首輪と、リードをつけて、サキアさんに似せた姿から、
もうすっかり、本来の犬の姿に戻っている。
抵抗しても無駄だ…と悟ったのか、先ほどまでの勢いは、影も形もなく、
おとなしい犬へと変貌している。
「送り届けるって、どこに?」
そもそも今ここに、本来の飼い主である、サキアさんがいるというのに?
だが、サキアさんは、ショーンの言うことを黙ったまま聞いている。
裕太はサキアさんに、ショーンを返して、とも言えず、
「あ、あの…」
顔色をうかがって、裕太は彼女を見あげた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます