第371話 サキアさんの置き土産

「私は別に…この子のしたいように、させるだけだ」

 言い訳のように、サキアさんは言う。

その答えに、ショーンは何か言いた気ではあったけれど…

サキアさんは、クルリと振り向き、

「さぁ、来い!」

短くシェーラに話しかけると、ショーンから、リードを受け取った。

「悪かったわねぇ。

 この子のせいで、あなたたちに迷惑をかけて」

リードを持ったまま、おもむろに鳥かごの扉を開く。

「ちょっとぉ~何やってるんだよぉ!遅いよぉ」

待ちくたびれたように、ジュンペイは外に飛び出して来た。


「悪い悪い」

 軽い調子で、サキアさんが笑う。

いつものサキアさんだ。

そうしてショーンに向き直ると、

「それじゃあ、迷惑ついでに、1つだけ教えよう」

ショーンに話しかけた。

「このトオのてっぺんに…お前のお仲間がいる。

 助けるんだったら、今だ。

 すぐにも、ここをたちなさい」

そう言うと、ショーンの手のひらに、コロンと光る物を落とす。

「これは、プレゼントだ。

 ショーン、この子たちを頼む」

ヒラリと身をひるがえすと、リードを引っ張って、身体を躍らせた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る