サキアの休日…43
「 はっ?」
重苦しい雰囲気を壊すように、サキアはわざと身体を
そらすと
「あなたたち…勘違いをしている!
私は、絶対に死なない。
それに…キヨラには、あんたのような男が、お似合いなのよ」
お姫様を、竜に取られてもいいの?
サキアはドン、とミナトの背中を押す。
「しきたりなんて、ナンセンスよ!
竜の申し子?
バカじゃないの?
キヨラはまだ…若くて、きれいなのよ。
もったいないじゃない。
このまんま…あんな、人が近寄らないような地下で、恋も、
きれいなものも、楽しいことも全部捨てて、一生こもるなんて!」
まるで怒ったように、激しい口調でそう言うと…
さらに、ミナトの背中を、ドンと押す。
「何とかしなさいよ!
あんた、男でしょ?
キヨラの本当の気持ち…
受け止めてあげなくて、どうするの?
男なら!
奪い返してみなさいよ!
しきたりがどうした?
のろい?
そんなの…糞くらえよ!
駆け落ちでもなんでも、してみなさいよ!」
ドンドンドンと、さらにミナトの背中を叩く。
だが…その背中は思ったよりも頑丈で、ガンコで、しかも融通も
きかなくて…
無言のまま、サキアにされるがままになっている。
「どうして、わかんないのよ!
なんで、あのままにするのよ!
私たち…友達なんでしょ?」
一気にそう言うと、サキアの瞳から、大粒涙があふれてきた…
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