サキアの休日…42

 サキアが素早く、ミナトの手を避けると、押し殺した声で

「人を呼ぶわよ」と言い捨てる。

「仕方がないなぁ」

ミナトは、腕組みをすると、

「キヨラは、あの社に残った」

キッパリと言い切る。

「えっ?」

 ダメだったの?

サキアは、自分の目論見が失敗に終わったことを知る。

「どうして?

 ミナト…あなた、何を言ったの?」

やはりキヨラは、自分の思いを伝えなかったのか…

ずいぶん、ガンコなところがあるからなぁ~

サキアは、ひどくガッカリとした。


 そんなサキアの顔を見ると、ミナトは

「そうじゃない」と、いきなりサキアの腕をつかむ。

「キヨラは…知っていたんだ」

じぃっと、サキアの瞳を見つめる。

「知っているって、何を?」

(まさか、私の本当の目的を?)

サキアはふいに、顔をそむける。

「ボクの顔を見て!」

ミナトはぐぃっと、さらにサキアの腕を引く。

思わず引き寄せられそうになり、サキアは足を踏ん張ると、

無理やりその腕を引きはがす。

 ミナトはガッカリしたように、ため息をつくと、

「キヨラは、すべてをわかっていて、言ったんだ。

 『私は…やっぱり、このままでいい。

  サキアは私のために…すべてを棄てようとしているのよ』って。

 サキア…おまえ、死にに行くつもりなのか?」

やけに強い口調で、そう言った。

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