第21話 目指せ!あの頂へ!

「おかしなの!」

 ジュンペイはヘラリと笑って、裕太を見る。

「みんな、なんでこんなに、サキアさんにヘコヘコするんだろうね?」

大きな声で笑うので、裕太はあわてて

「しぃ~」

ジュンペイの口をふさいだ。

(コイツといると、ボクの寿命まで、縮んでしまいそうだ…)

裕太は思わず、サキアに助けを求めるような顔を向けた。


 結局は仕事がある、と言って、サキアがどこかへ行ってしまった後…

さて、これからどうしようか、と裕太がジュンペイと目を見合わせる。

「ね、本当に、あそこへ行くつもり?」

確かめるようにして、裕太が聞く。

「あそこって?」

とぼけた顔をして、ジュンペイは裕太を見る。

「どこって…あそこだよ!」

 目の前のグレーのトオを指差す。

それはまるで、バベルの塔のように、周りを圧倒するように

そびえている。

「あ、なんだぁ~」

ケラケラとジュンペイが笑う。

「当たり前だろ?

 せっかく、ここにいるんだからさぁ。

 じゃなきゃ、何しにここにいるんだよぉ?」

どうやらジュンペイにとっては、迷う余地もないようだ。

 もっとも2人は、このトオに上るために、この町に来た

わけではないのだが。

じぃっとその建物をジュンペイを見ると

「そうなんだぁ」

裕太はつぶやく。

 大丈夫かなぁという気持ちと、これから冒険するぞ、という

ワクワクした気持ちが入り混じっている。


 そんな2人を、サキアのボディーガードが、じぃっと見守っていた。

実はサキアから、頼まれていたのだ。

「ちょっと、いいかな」

ボディーガードは、裕太たちに声をかける。

普段はほぼ、何もしゃべらない彼が、いきなり声をかけるので、

裕太はピクリと身体を身がまえた。

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