サキアの休日…24

 あれは、サキアが18の誕生日を迎えた時のこと。

マリさんに内緒で、キヨラを呼び出すと、

「私…この町を出ることにした」

開口一番に宣言した。

「えっ?」

 てっきり…龍神様の祭りの話でもあるのか、と思っていた

キヨラは、目を真ん丸にして、

「え~っ、どうして?」

初めて聞く事実に、耳を疑う。

「ドッキリなの?

 何よぉ、私…何かした?」

まったく心あたりがないので、ドキリとする。

「どうしてって…これ以上、マリさんの世話になるわけには

 いかないでしょ?」

何を今さら!と、サキアはさばさばとした声で言う。


「なに?マリさんと、ケンカでもしたの?

 あなたたち、あんなに仲良しなのに?」

 サキアとマリさんは、血のつながりがないとはいえ…

まるで、ホンモノの親子か、それ以上の絆で結ばれている…

と感じたのは、ウソなのか?

キヨラは、未だに信じられないのだ。

「どうして?

 だって、マリさん…

 あんなに、サキアのことを、大切にしているのに」

「だからよ!」

 やはり、いくら幼なじみでも、そういうことはわからないのか…

サキアは困ったように、まばたきをした。

 もちろん、キヨラの言うことは、もっともだ。

血のつながらない、ただの亡くなった知り合いの子供を…

まるで自分の子供のように、ここまで可愛がってくれたのだ。

それには、言葉には言い尽くせないくらいの想いがある。

だが、自分ももう大人になる。

そうしたら、いつまでもこのまま、甘えるわけにはいかない。

ずっと、そう考えていたのだ。

「私も、一人前の大人になったら、いつかマリさんを楽にさせたい。

 今までの恩返しをしたいのよ」

それは、今まで漠然と考えてきたことだ。

「でも…どこへ行くつもり?」

それでもキヨラは、何とかして、彼女の気を変えようと考えていた。


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