サキアの休日…23

 サキアはミナトの瞳の奥を、じぃっと見つめると

「その気があれば、まだ間に合うかもしれないわよ」

試すように、言ってみた。

二人の視線が、一瞬からまり合う。

サキアは瞳の奥の真実を、見逃すまい…と見ていたが、すぐに

すぃっと目をそらした。

「もっとも私にはもう、その気はないけどね」

意味深なことを、ポツリとこぼすと、再び帽子を目深にかぶる。


「前にも…こんなこと、あったよな」

 ボソリとミナトがつぶやく。

マリさんは黙ったまま、二人の姿を交互に見比べていた。

「さぁ?そんなこと、もう忘れたわ」

冷ややかな声で、サキアはそう言い放つ。

すぅ~っと大きく息を吸い込むと、サキアはヘラリと笑い

「ねぇ~あなたたち、あれからどうなったの?」

わざとからかうように、媚びを含んだ目で、そう言った。

「どうなるも何も…何もあるわけが、ないじゃないか」

ミナトはブスリと言い返すと、サキアの真意を図るように…

その顏をのぞき込もうとした。

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