第389話 卑怯者!

「なぁ、卑怯だぞ!堂々と姿を見せろよ!」

 いきなりジュンペイが、岩に隠れたまま、声を張り上げる。

「ちょっと!何をやってるんだよ」

 やられたいのか?

今にも飛び出しそうなジュンペイの身体を、裕太があわてて押さえ

つける。

それでもジュンペイは、ジタバタと足を踏み鳴らし

「ずるいぞ!こっちは、丸腰なのに!」

さらにわめき散らしている。

一方的に、攻撃されているのが、悔しいのだろう。

だが、怖いもの知らずも、たいがいにしてくれ!

裕太は、怒鳴りつけたい気持ちになる。


 パキン…

小枝を踏むような音がすると、

「へぇ~キミたち、ずいぶん威勢がいいんだなぁ」

暗闇から、低い声が響いてきたかと思うと…

ジャリジャリと岩を踏みつけて、ゆっくりとその人物が姿を現した。

「えっ!」

 矢をつがえて、こちらに近付いて来る、その人物は…

間違いなく、見たことのある人だった。

「なんで?」

その人は、確かに裕太たちは見た。

しかも…

地下の都市で、死んだはずの人物だった。

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