第302話 秘密の通路

「いや、それは困る!」

 ジュンペイが叫ぶ。

置いてきぼりも、巨人に捕まるのも、どっちもごめんこうむりたい!

「だろ?」

ジャックがニヤリとすると、

「なら、こっち!」

ボンヤリとランプが灯る、通路の方を指差した。


おや?

こんなところに?

さっきは、気が付かなかったけれど。

驚く裕太に気が付くと、

「この秘密の通路~ボクが見つけたんだ!」

得意気に言いながら、足早に通路を歩いて行く。

「へぇ~」

さっきの通路とは、また違う…

いかにも人間の手が加わったような、そんな通路だ。

「ね、元からあったの?

 でも、ここって…巨人には小さすぎるよね?」

それは…先ほどから、気になっていたことだ。

何を言っているんだ、とジャックは呆れた顔をする。

「当たり前だろ?

 たぶん、ここはね…メンテナンスのための通路なんだ」

「はっ?」

いきなり、ワケがわからなくなってきた。

どういうことだ?

ここって…巨人の家じゃないのか?

何なんだ、この男の子は!

(まさか…トオの仲間なのか?)

急に…パラレルワールドに、迷い込んだような気がして来た…


 さっきから、苦虫を嚙み潰したような顔をしているジュンペイが…

ついに口を開く。

「はっ?

 何を言ってるんだ?

 巨人の家じゃないのか?」

さっきから、わけのわからないことを、言うなよぉ。

そう文句を言うと、ジャックはしたり顔をして、

「ここはね、いってみれば、作り物の町なんだ。

 君たち、知ってるだろ?

 トオ!

 そう、ここは、トオの一部なんだ」

自信満々で言う。

まさか、ジャックの口からそのワードが出るとは思わなかった。

「えっ、1部?」

それじゃあ、残りは、何なんだ?

「それならさ、お前…本当はジャックじゃないのか?」

信用して、ソンした!

じゃあ、ここのスタッフ?

ヘンリーとか、

ジェームズとか、

ロンとか、

ハリーとか?

本当は、全然違うのか?

だまされた気持ちで、裕太はポカンとする。

「はっ?何を言ってるんだよぉ」

バカだなぁ~

裕太の反応に、面白そうにあははと笑う。


 ジュンペイはというと、何事か考えているようで、じぃっと回りを

見ている。

それもまた、気になるなぁ~

裕太は、ジュンペイの姿を見詰めていた。

「まぁ、なんだな。

 とにかく…ここを出ようぜ!

 とっておきの隠し通路があるんだ」

ヘラリと笑うと、いきなりジュンペイが

「隠し通路?

 何か、カッコいいなぁ!」

いきなり目を輝かせた。

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