第303話 新たな友情?

「おまえ…すごいヤツなんだなぁ」

 いきなりジュンペイが言う。

「そうか?」

「そうだよぉ」

どうやらすっかり、ジャックのことが気に入ったようだ。

ジャックもジャックで、まんざらでもないようで…

すっかり嬉しそうに、ニヤニヤしている。

ま、こんな風に褒められたら、悪い気はしないものだ。

「おまえだって、スゴいぞぉ~

 全然ビビリじゃないじゃん!」

大げさに声を張り上げると、ポンポンとジュンペイの肩を

叩く。

「そうかぁ~?

 だけど、ホント、おまえって勇敢なんだなぁ」

さっきまで、ジャックのことを胡散臭いヤツ…とか、

盗っ人扱いしていたくせに、ずいぶんな手のひら返しだ。

(まるで、親友気取りか?

 これって、ジャイアン対ジャイアン同士の友情?)

あんまり関わりたくないなぁ~

裕太はあえて、何も言わない。

あらためて、

「さっきは、悪かったなぁ」

ハープのことを、ジャックが謝ると

「いいんだ、いいんだ。

 どうせ、ボクらはまだ、トオに行かなくちゃあいけないしな!」

明らかに、言うことが違う。

(なんだよぉ、ずいぶん、調子がいいなぁ)

裕太が呆れていると、

「な、そうだろ?」

あらためて、裕太に向かってそう聞いた。


「うん、まぁ、そうだよなぁ」

ジュンペイはトン!と座っていた石から、身軽に立ち上がる。

「じゃあ、行こうぜ!

 ジャック、案内してくれるんだろ?」

ジャックの傍らに、気安くスィッと、肩を並べる。

「あぁ、もちろん!とっておきの場所をね!」

そう言うと、ニヤリと裕太を振り返る。

目が合うと、裕太に向かって、軽く親指を立てると

「まぁ、ちょっとね、スリル満点だけどな!」

ヘラリと笑う。

何だか、ものすごく嫌な予感しかしない。

「何だよ、それ」

ちゃんとしてないと、困るけどなぁ~

裕太は、眉間にしわを寄せる。

「大丈夫だってぇ」

何だか楽しそうに、口を横に引くと

「さぁ、脱出ゲームの再開だ!」

なぜかとても楽しそうに、そう2人に宣言をした。

 

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