第246話 なんだ、あれは?

(鏡が何かに、反射したのか?

 じゃあ…何が置いてあるんだ?)

 裕太はあれこれと考えながらも、

さて、あの洗面台を、どうやってよじ登ろうか?

新たな問題に、裕太は突き当たる。

まず、滑らないか?

とっかかりは、あるのか?

何メートル、あるのか?

じっと見つめて、頭を悩ませる。

もちろん洗面台も、大理石で出来ている。

ロープを投げたところで、滑り落ちるだろう。

ツルツルとしていて、このまま上るとしたら、かなり

難しそうだ。

かといって、ここで見逃したら…

後でジュンペイに、ヤイヤイ言われるのは、目に見えている。

(よじ登るか?何かないか?)

 キョロキョロと辺りを見回すと、チラリと掃除道具入れの

ようなものに、長い棒状のものが、はみ出しているのが

目に入った。


(あ~あ、今日は上る日なのかぁ~)

 さっきも、階段を上がるのに、一苦労だった、というのに、

またも上るのかぁ…

まるで、自力でアスレチックをしているみたいだ。

(まぁ、いい。

 あれを使えば、行けるのかも?)

滑ることもないだろう。

ひとまず、そのとてつもなく大きなモップを見付けると、

どうにかこうにか、これを台まで引っ張って行くことに決めた。


「うわぁ~これ、めっちゃ、おっもいなぁ~」

 ズルズルと引こずるけれども。

このモップ!中々の難物で、今の裕太には、とてつもなく重い。

「これは~1人では、ムリかもなぁ」

半分音を上げていると、

「ちょっと、おい!

 そんなところで、何をしているんだよぉ」

トイレのすき間から、声が聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る