第45話 敵か味方か?

「オジサン、誰?」

 ジュンペイは、目の前の男を見上げる。

(この人は、大丈夫なのだろうか?)

不信感の塊のような目で、その謎の男をじぃっと見つめる。

ジュンペイの視線に気が付くと、ようやく男は、彼の手を離し

「危ないところだったな」と話しかけてきた。

(本当に…ついて来て、よかったのだろうか?)

さすがのジュンペイも、警戒するように、ジリジリと

後ずさりをする。

 だが…先ほどの男たちとは、明らかに雰囲気が違う。

着ている服も、黒づくめの男たちと違って、とても動きやすそうな、

迷彩柄の忍者のような服装をしている。

さらに…思ったよりも、若そうだ。


 ジュンペイのまん丸い目とかち合うと、

「さっきは、驚かせてごめん!

 キミ…危ないところだったんだぞ!」

にぃっとジュンペイに向かって、親し気に笑う。

そうすると、顏がクシャリと崩れて、ぐぅっと何だか人の良さそうな

顔つきになる。

「オジサン…なんで?」

ポカンとして聞くと、男は頭に指を突っ込んでかき回すと、

「オジサン…かぁ~」

まいったなぁと笑う。

「アイツら、キミたちを…ドクターバードの所へ、連れて行く

 ところだったんだぞ!」

 ドクターバード?

 何を言っているんだ、この人?

ジュンペイはキョトンとする。

だからといって、この人が怪しいのは変わりない…

それに一体、何者なんだ?

 ふいに気が付いたように、けげんな顔で、男を見ると

「ドクターバードって?」

鋭い声で、男に詰問した。

「キミ…まさか、知らないのか?」

この町に来て、知らないって、モグリだぞ!

その男は、オーバーなくらいに、驚いた顔をして、ジュンペイを

見るので、何だかきまり悪くなってしまう。

何を言っているんだ、このオジサン!

さらに警戒をして、ジュンペイはポケットに手を突っ込んだ。


「まぁ、そうだな」

そうつぶやくと、相手は子供だ…と、気を取り直したように、

ニコニコしながら、ジュンペイを見下ろす。

「アイツはね、サイコパスなんだ。

 サイコパスって、わかる?」

何をさっきから、言っているんだ?

ジュンペイは、ポカンと口を開ける。

はは…と男は笑い、まいったなぁと再び言うと

「実験のためなら、何だってするような、異常な男なんだ」

真剣なまなざしで、ジュンペイに向かって言う。

「まぁ、そのうちわかるさ」

にっと笑ってみせた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る