第44話  謎の人物、現る!

 男の叫び声が、裕太の監禁されている部屋にも、響いて来た。

(ジュンペイ、やったな!)

ついに、実行したことを悟る。

(うまくいったかなぁ?)

頼む、無事に逃げ切ってくれ!

そう願う裕太である。


男は声を荒げながら、ジュンペイを追いかける。

ジュンペイは、後ろ手に持っていたモップをかざすと、

 パコーン!

男に向かって、振り下ろした。

 いててててて

一瞬、男の動きが止まる。

「このガキ~!」

自分の頭を撫でさする男を振り切り、

「今だ!」

ジュンペイは、駆け抜けた。


 ヒャー!

 走れぇ~!

騒ぎを聞きつけたのか、いつの間にか追っ手の数が増えている。

 ヤバイ!

 逃げなくちゃ!

手前の方からも、男たちがやって来る。

お陰で、暗い廊下も灯りなしでも、はっきりと見える。

 挟み撃ちか?

 ダメだ!

 南無三!

(ごめん、裕太!)

 頭が真っ白になり、ひたすら走るジュンペイの方に向かって、

スッと陰から別の男が現れる。

(もう、ダメだ…)

ジュンペイは、ついに観念した。

すると…

男はジュンペイを、ジッと光る眼で見ると

「こっちへ」と手招きをする。

(えっ、この人…敵じゃないの?)

訳が分からぬまま、戸惑うジュンペイに向かい

「早く!」

ぐぃっと腕を引っ張った。

(えっ、この人…何者?)

混乱する頭のまま、ものすごい力で、腕をつかまれて、

素直にジュンペイは走る。


(あれ?こんなとこ…あったっけ?)

気が付いたら、先ほどいた廊下から外れ、別の場所に来ていた。

ようやくジュンペイは、知らない場所にいることに気が付くと、

その男の背中を見つめた。





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