第457話 永遠の…さよなら

 丁度赤い像と、他の像の間に、ショーンは身体をすべり込ませる。

ファルコンはおもむろに、竜の像の所までやって来る。

(えっ?まさか)

ようやく裕太は、気が付く。

(まさか、カギって…)

ぽっかりと空いた空間に、自らの身体をはめ込むように、ゆっくりと

めり込ませる。


「ファルコン!

 やめてよ!そんなの!」

 だってショーンも、ファルコンも、あの世界に戻って行く…と勝手に

思っていたのに?

「いいんだ」

少し同化しかけていたショーンは、わずかに微笑む。

「このために…ボクたちは、ここへ来たんだ」

ジュンペイは無言で、二人の様子を見守っている。

だが…爪の先が真っ白になるくらい、ぐっと強くコブシを握りしめていた。

「キミたち…ドクターには、気をつけろよ!

 あの男は、まだこの辺りにいるはずだ」

 何しろ、執念深い男だ…

ショーンの体が、半分固まっていく。


「えっ?」

 やっつけたんじゃなかったのか?

裕太がポカンとしている間に、ファルコンは赤い目の像に、後ろ向きで

体を添わせる。

「ねぇ、ショーン、待ってよ!

 ボクたちは、まだ何も…」

あわてて裕太が叫ぶけれども…

「元気でな」

そう言うと…

翼を持つ男は、あっという間に表情が固まり、銅像とすっかり同化した。

それはまるで…夢の中の出来事のようだった。


「嘘だろ、ショーン!

 帰って来いよ、ファルコン!」

ようやくジュンペイがつぶやく。

その瞬間、グラリと洞窟が大きく揺れた。


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