第87話 反乱!

「おい!早くゴキブリを追い出してくれ!」

 キーキーと耳ざわりの悪い声で、ドクターが言うと、

一方的に電話を切る。

「さぁ」

気を取り直して、裕太に向き直った。


 すると今度は、バサバサ…と、何かが羽ばたく音がした。

さらには、ウオーン!

犬の遠吠えが聞こえる。

ドクターは、耳をふさぎ、

「うるさい、うるさい!」と怒鳴る。

すると今度は、ドーン!

先ほどよりも近くで、何かが爆発する音が響いた。

もうもうと土煙が、部屋中に広がる。

 さすがのドクターも、一瞬ひるみ、ゴホゴホと咳き込んだ。

「何者だ!」

やや苦し気な声を上げた。

 すると複数の足音が、こちらに近付いて来て

「裕太!大丈夫か?」

 煙の中から、どやどやと人がなだれ込んで来るのが見えた。

その人たちを見て

「ちょっとぉ~遅いよぉ」

見覚えのあるシルエットを見付けると、思わず半べそ状態で、

裕太がようやくその人に、声をかける。

「ごめんよぉ~ちょっと、手間取ってさぁ!」

迷彩柄の集団の中から、ジュンペイが飛び出して来た。


「また、お前か!」

不機嫌そうに、ドクターがジュンペイをにらみつける。

ジュンペイの隣には、年配の女性が立っていて、

「ドクター!あなたまた、無茶なことをしているんじゃあないの?」

凛とした声で、言い放つ。

「うるさい!」

彼がその女性に向かって吠えると…

それを無視して、その人は奥の檻の方に、近付いて行った。


「ドクター!あなたの負けね。

 あなたは、ちょっとやり過ぎなのよ」

 今度はいつの間にか、黒い装束の男たちが、手際よくロープで

縛られているのが見える。

「あっ、あの声は!」

ジュンペイが叫ぶ。

その声は…確かに聞き覚えのある、頼もしい援軍の声である…

と気付いていた。


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