第86話 サイコパスなんて、怖くない!
「ほほぅ」
ドクターは、目を大きくひんむいて、裕太を見ると
「ずいぶん、威勢がいいじゃないかぁ。
ますます気に入った!」
楽しそうに笑う。
「噛み応えのない相手は、つまらん」
そう口走ると、あの暗くて底光りのする瞳を、檻にいる裕太に
近付けた。
「安心しろ!
ちゃっちゃと済ませてやるから!」
楽しそうにそう言うと、いつの間にか壁の動きが止まり、大きな
白い部屋が出現した。
「ようこそ、私の秘密の研究室へ!」
暗い光を目にたたえると、ぞっとするような不気味な笑みを、
口元に浮かべる。
まるで、ヘビににらまれたカエルのように、裕太の背中には、
冷たい汗が伝って落ちる。
すると奥の方から、大きなアームのついたロボットが、白衣の男に
近づいて来た。
「サキアもいい仕事を、してるなぁ」
惚れ惚れとした顔で、そのロボットを見やる。
「これは、新しい私の相棒だ」
ポンポンとロボットの身体に触れると、
「ドクターバード、準備が完了しました」
機械的な合成音が、ドクターに告げる。
「そうか」
さらに満足そうな顔をすると…
「さぁ、今度は…キミの番だ」
嬉しそうに、裕太をなめるように見つめた。
(ヤバイ!絶体絶命のピンチだ!)
怯えた犬のような目で、ドクターを見上げる。
ドクターは、ポケットから医療用手袋を取り出すと、ピンと
引っ張って、両手にはめる。
「大丈夫、さぁ…怖くないよ」
手袋をはめた手を、ゆっくりと伸ばす。
「さぁ」
さらにその目に、漆黒の光が色濃くにじみ出ると…
いきなり
ドーン
ドドーン!
何かが、爆破されるような音が、響き渡った。
ミシミシと揺さぶられるような、振動が伝わる。
「なんだ?
また、アイツらか?」
気色ばんだドクターは、裕太に背を向けると、どこかへ
電話をかけた。
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