第74話 キミはどこに?

「そうだな!」

 まずは、裕太を探すのが先決だ。

ジュンペイは、大きくうなづく。

「ねぇ、ここって…どのくらいの部屋があるの?」

先ほどから、ウネウネと走る廊下を、曲がったり、真っすぐに

行ったり、幾つもの角を回っている。

「他にも部屋が、たくさんあるんだよね?」

沈黙に耐え切れず、ジュンペイが話しかける。

すると、かすかにドーンと、何か爆発音が聞こえてきた。

 ショーンは、ビクッと肩をこわばらせると、

「いよいよ、始まったのか…」とつぶやいた。

「なんのこと?」

 ジュンペイが、ショーンの背中に話しかけるけれど…

聞こえないのか、返事をしない。

一体、どこまで行くんだ?

そう思っていると…

暗闇に、ボゥッと錆びた扉が現れた。

 ピタリとショーンが足を止めると、それに反応して、

マリさんが彼の側に近付く。

まさに阿吽の呼吸だ。

(これって、かなり錆びているけど、大丈夫なのかなぁ?)

黙って、その後ろを見守っていると、マリさんはいつものように、

ゆっくりとドアのノブに手をかける。


 フワッと包み込んだ、鈍色のノブが、ほんのりと白く光ると…

やがてカチャリと音をたてる。

(やっぱりだ!

 一体、どうなっているの?)

すでに何回も、同じ鍵開けの瞬間を見ているので、もうイチイチ

驚いてはいられない。

 ショーンはおもむろに、ジュンペイを振り向くと

「声をたてるなよ」

小声でささやいた。

 もしかして、ここに裕太がいるのか?

ジュンペイは息を止めて、じぃっとショーンのすることに、目を留めた。

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