第73話 潜入!
これが本当に、あのドクターの技術の粋を生かしたという、
最先端の施設なのか?
ジュンペイは不思議に思う。
地下はかなり洞窟のような雰囲気が漂い、とてもそうとは
思えないからだ…
(動物園の檻とかじゃあないのか?)
ふと思う。
後ろから見ると、ショーンの翼が、あまりにも大きくて…
とても立派な研究所には、見えなかったからだ。
「ここには、一部の人しか、入れないからな」
唐突にショーンが言う。
「そうなの?」
マリさんが、普通に話しかけると、案外気さくに返事をする。
「そう…ここは、ドクターのプライベートな研究室のあるエリア
だから…あまり人を立ち入ることが出来ないんだ」
それは、好都合かもしれない。
人知れず、潜入するには。
ドクターが、ショーンに向かって
「大切にしていた」と言った意味は、そういうことなのか?
ジュンペイには、その辺がよくわからないけれど…
「で!あなたのパートナーって、どこにいるの?」
マリさんが、ショーンの翼を見つめながら聞く。
「それは…おそらく別の部屋かも」
何となく、元気のない声で答える。
「そこには、行かなくてもいいの?」
本当ならば、まず第一に、自分の相棒を助けたいものだ。
シュンペイだって、そうだ。
だがショーンは、にぃっと笑って、
「アイツはあれで、中々タフなヤツだから、きっとうまく
切り抜けてくれるはず」
大丈夫、とジュンペイの方を振り向く。
一体、どんな人なのだろう?
そんなに信頼するなんて、よっぽどのつわものか、頭の切れる
人なのだろう。
(いいのかなぁ)
ジュンペイは、気になるけれど
「それよりも、キミの友達の方だ!
間に合えば、いいのだが」
キュッと顔を引締めて、そう言う。
金色の瞳の奥の瞳孔が、ぎゅっと狭まり、怪しく赤い光を放つ。
もしかしたら、彼の感情に合わせて、瞳の色も変化するのかも
しれない。
ジュンペイは、ひそかにそう思った。
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