第262話 何かが、変だ…

 今度は、白一色の部屋だ。

ツルツルとした白いタイルが、一面に床に貼り付けてある。

「おい、滑るなよぉ」

早速、ジャックの声がかかる。

ジュンペイは、人に指図されるのが、何よりも嫌いだ。

「なんだよ、アイツ、偉そうに…」

ボソッとつぶやくのを、裕太は聞こえないふりをした。

 どうやらジャックは、入って来るつもりはなさそうだ。

入り口に立ちすくみ、こちらの様子をうかがっている。

「なぁ、ただのトイレだろ。何にもないよ!」

そう繰り返すだけだ。

強いて言うなら、それがかえって怪しくて、逆に何か隠して

いるのではないか、と裕太は疑う。


「なぁ」

扉の影に身を隠すと、ジュンペイは裕太を振り返る。

「なんで、あんなヤツとつるんでいるんだよぉ」

何だか自分が、仲間外れをされているようで、面白くない

らしい。

(ジュンペイらしいなぁ)

「たまたまだよ、たまたま!

 ここに入ったら、あのジャックが現れたんだ」

「ふぅーん」

ジュンペイはまだ、気になる様子だ。

だが、そう言われれば確かに…

いつの間にか、自分と一緒に、洗面台に乗っかっていたなぁ~

と思う。

だけどもジュンペイにしてみれば、いきなり現れて仲間のような

顏をしている、この見慣れない少年に…

一切思い入れがないし、興味もなさそうだ。

ましてや、自分たちに合わせようともしないから、なおさらだ。

「なんだよ、アイツ!」

どうも知らないヤツに、見張られているような感じがして、

何だか面白くないとイライラしながら、ジュンペイはトイレの

中を、落ち着きなく歩き回った。

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