第253話 とにかく上へ!

「そうか?なら、上がってみよう」

 案外あっさりとジャックがうなづくと、モップに飛び付く。

「じゃあ、キミは…この棒を支えてて!

 で、ボクが上がり切ったら、その後にキミも続くんだ。

 今度は、ボクが支えるから」

そう言うが早いか、スルスルと上って行く。

(さすが、本家本元のジャックだ!)

 この身のこなし…

 まるでジュンペイみたいだなぁ~

そう裕太は思う。

(もしもジュンペイがここにいたら、きっと勝負しよう、と

 言うんだろうなぁ)

思わずニヤニヤとする。


 ものの数分で上がりきると、

「おーい、そこのキミも、上がって来いよぉ!」

ジャックの声がする。

「うん!」

ジャックが上がったのを見届けると、さぁ自分も…と、

裕太はパンパンと手をズボンに擦り付ける。

 怖くはないか…といったら、嘘になる。

怖いけれども、みんながいるから、その気持ちも多少は半減する。

「さっ、それじゃあ、上っておいでよ!」

ジャックが上から、声をかける。

そうして手招きをした。

 さすがにジャックのように、素早くはいかないけれど、それでも

どうにか上り切る。

すると目の前に、見事な眺めが広がっていた。

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