第18話 子供の相手も大変だあ~
「とにかく、あんたたち…本気でトオへ行くつもり?」
確かめるように、サキアが声をかける。
本当は、子供の相手なんて、している場合ではないのだけれど…
こんな丸腰の、お金のない子供を、ポーンと放り出すほどの
人でなしではない。
(何しろ今の時代…児童虐待だの、保護責任者遺棄だの言われたら、
評判にも関わるし、新しいプロジェクトにも、支障が出るし…
どこかの団体に訴えられても、困るしね)
サキアの脳内で、すばやく答えをはじき出す。
(ま、ほどほどに面倒を見たら、さっさと親元に帰ってもらおう。
なんなら、親に来てもらってもかまわないし)
うん、それでいい。
彼女は満足気にうなづいた。
やれやれ…それにしても、貧乏くじを引いたなぁ~
サキアは、帽子に手をやった。
「サキア様、大丈夫ですか?」
サキアの側には、いつも影のように、このボディーガードが
控えている。
出過ぎることはなく、だが目端が利いて、よく気が付いて、
いざという時には、役に立つ男だ。
もし何かあったら、彼に子供たちの行動を見ていてもらおう。
そう考えをまとめた。
「じゃあ、行こうか!」
1人ジュンペイが張りき切ったように、声を張り上げる。
先程たこ焼きを食べて、勇気百倍!
すっかり元気になったのだ。
歯には、青のりをくっつけて、にぃっと笑っている。
まいったなぁ~
サキアは苦笑いをする。
憎めないんだよなぁ~
すっかりこの子たちのペースに、巻き込まれたようだ。
チラリと、ボディーガードを振り返る。
「やるしかないかぁ」
ヘラリと笑った。
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